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2004.04.28

宮崎駿は熱血が嫌いか

最近固いネタが多いので少し趣向を変えます。
宮崎駿という、アカデミー賞監督がいます。この人の代表作のひとつが「風の谷のナウシカ」。これは、遠い未来での人々と自然とのかかわりを描いた、とされています。

また、同じ年(二人とも1941年生まれ)の生まれに富野由悠季という人もいます。代表作は、「機動戦士ガンダム」。他にも、ロボットもののアニメを多く監督しています。


(この先、「風の谷のナウシカ」、「もののけ姫」、「千と千尋の神隠し 」、「イデオン」、「戦闘メカ ザブングル」、「オーバーマン キングゲイナー」のネタばれを含みます。未見の人は避けてくださるようお願いします。

ネタばれあります。本当に良いですか?


これくらい空ければいいかな?


では、続き。

さて、富野氏といえばガンダムですが、他にも作品を作っています。ガンダムの直後に作られた「イデオン」。これは、やはり遠い未来の世界で無限の力にとらわれた人たちが自分の業を超えられず、振り回されてもがいていくさまを描いています。また、さらにその後に「戦闘メカ ザブングル」というTVアニメを監督します。ここでは、いちど環境汚染で地球を痛めつけてしまい、人々が住めなくなってしまった世界で、そこに住める人間を新たに作り出し、その人たちが元気に暮らしていくさまを描いています(本編ではこんなそぶりはありませんが)。

さて、後者の設定は実はナウシカとほぼ同じです。決定的に違うのは、ザブングルでは管理者(作中では「イノセント」と称される)が現役でコントロールしていること(ナウシカでは既に遺跡の中でしかない)、ザブングルでは主人公たちが世界のあり方なんて気にしないで元気に生きている(そして、希望も見える)のに対し、ナウシカでは、生きること自体を肯定してよいか迷っているような描き方をしています。

「皆殺しのトミノ」と「安心して見られるジブリのご本尊」と言われる二人ですが、奥底にあるものが実は正反対なのでは、という印象を持っているのです。

そして、両者のスタンスはナウシカの焼き直しと一部で言われる「もののけ姫」やアカデミー賞作品の「千と千尋の神隠し」と、富野カントクの最新芸能アニメ「キングゲイナー」を比べても明らかでしょう。

「キングゲイナー」では、エクソダス、すなわち脱出が描かれます。その先に本当に希望があるのかどうかはわかりませんが、少なくとも抑圧された状況を変えよう、ということを肯定的に描いています。
対して、「もののけ姫」では、女たちが生きるすべとして作ったたたら場が、自然を破壊し、また争いの原因となっていることを描いています。

現実を見る限り、無制限に欲望を発揮してよい状況には無いことは確かです。ただ、かといって希望を持っていくこと自体を否定されて生きていけるほど人間は高級な生き物ではないようにも感じます。

宮崎監督は「天空の城ラピュタ」で、「人は土から離れては生きていけない」といい、富野監督は「機動戦士Zガンダム」で、「地球の重力に魂を引かれた人たち」と言います。(どちらも1985年作品だったりする)

監督がそれぞれ本音を語っているかどうか、ということはここでは問題としません。ただ、宮崎監督の作品では、比較的冷めた眼で見ていることが多いのかな、という印象を持っています。

人はどうやって生きるのか、ということに関しては2つの間のバランスでしかないのでしょうから、両者をともに心に留めておくようにしたほうがよいのでしょう。

おまけ。竹宮恵子の漫画に「地球(テラ)ヘ…」という作品があります。これは、未来の世界で地球を守るため人類は絶対管理社会を引き、ほとんどの人たちは遠くの惑星に移住させられ、ふるさとである地球を思う、という背景があります。そして時折生まれる超能力を持つミュータント(作中では「ミュウ」)は迫害されています。
 そして、最後に実はミュウが生まれてくること自体が管理プログラムに入っており、地球の行く末をミュウか従来の人間の勝者に託す、という計画があったことが明かされます。
 さて、この漫画が映画化されました。作中では、ミュウは迫害されつつ、独自の社会を作り、ミュウ同士で結婚した子供ができるようにまでなっています。そして、映画の終り近くで、ミュウの子供たちは地球を思う親世代を地球に送り届けた後、自分たちは地球を離れ旅に出てしまうのです。
 地球を救う力を持つ新人類は誕生したのだが、逆に彼らに地球は捨てられる、というある種のどんでん返しがあったことが強く印象に残っています。

年金だ、税制だ、と色々やっていますが、実際に社会を担うのはその子供たちの世代なんですね。彼らに捨てられるような社会では仕方が無いので、ちゃんとわれわれの世代からがんばっていかないとまずいと思っています。

2004 04 28 [アニメ・コミック] | 固定リンク

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コメント

富野監督はすごい方です。

僕はガンダムはインドの

「マハーバーラタ」がモチーフだと思うのですよ。

「人類の重さで地球が沈む、故に戦争が必定」

って、「マハーバーラタ」のコンセプトそのものなんですよ。

ギレンの考え方や、富野さんの貴族好きは

何千年と保ってきた、人類を魅了する神話のコード

そのものなんですよ。

投稿者: キルゴア中佐 (May 1, 2004, 8:41:57 AM)