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2004.11.18

被取材者はもうからない

ここ何回かメディアの問題について考えてみました。また、興味深い記事がありました。取材にあたり、メールですべてやり取りを行い、その内容を公開した上でないと取材を受けない、というものです。この記事の作者は取材をする側の方が書かれたものですので、取材に対してチェックを受けることに違和感を覚えた、ということが主眼になっています。

さて、一般人がメディア企業から取材の申し込みがあったとします。この場合、取材を受ける「義務」はどの程度社会通念としてあるのでしょうか。また、どの程度まで「粘り強い」取材要請が許されるのでしょうか。

 これを、メディア企業の記者を「営業」と、被取材者を「顧客」に置き換えてみれば話がわかりやすいと思います。企業が記事を取るのは、究極的にはその企業が発行する雑誌なり新聞なり番組なりの売り上げを伸ばすことで利益を得ることです。では、被取材者側にはどんなメリットがあるのでしょうか。取材を受けることは、イコール時間ですのでコストが生じます。経済原則としてはかかるコスト以上のメリットがないと取材を受ける意味がありません。となると、上記の例で言えば、「自分たちの主張をより広く知らしめる」がメリットとなります。したがって、「記事が自分たちの主張を正しく伝える」形でないと取材を受ける意味がないどころか、デメリットとすらなってしまうのではないでしょうか。

地震の際の取材で言えば、取材を受ける側にとっての「利益」は、状況を回りに正しく知ってもらうことにより復興の手助けを早くしてもらう、広義では次の同種の災害の際により被害を小さくするための手がかりにする、でしょう。そして、この範囲を超えた報道は、取材過多となり生活妨害と取られても仕方が無いと思います。

 企業姿勢として、被取材者側の「モノ」(時間、プライバシー、気力、プライド)を取材して報道して与えられるもの以上に奪い取らないようなことができているかが、メディア企業に対する反感として生じているのかな、と思っています。

2004 11 18 [報道] | 固定リンク

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