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2004.11.07

事件における被害者報道

新潟中越地震の被災者に対して、そして被災地でのメディア各社の行動について、一部で問題となりうることが行われた、とネットでの書き込みがされたことについていろいろな有名Blog(ex:週間!木村 剛)が取り上げ、それをきっかけとしてメディア側に属する人が書かれているBlogで反論、実情紹介がされておりなんとか建設的な方向へ向かわせようとする努力が見られると思います。ただ、私が見る限り今ひとつ双方の議論がかみ合っていないように思えるのです。

というのも、例えば「新聞人を笑え」というBlogで幼児が事故で亡くなられた際に顔写真を借りに行け、と新人が上司に言われた時に苦労して説得する、という事が言われます。そして、ガ島通信では、当事者の方は比較的穏やかに接せされ、騒ぎを大きくするのは周辺にいる人間ではないか、とも言われています。

 しかし、今マスコミ批判で問題になっているのは「被害者に対する報道をここまで事細かくしてよいのか」ということではないのでしょうか。

 最近の事件では、長崎の小学校で6年生の女児が同級生を殺した、というものがあります。この事件では、加害者側は少年法のしばりもあり同級生である、という以外の報道はありません。しかし、被害者側は氏名、家族関係、生い立ちまで含めて実に事細かに報道されています。そして、今回はたまたま被害者の父はマスコミ関係者(毎日新聞佐世保支局長)でした。
 この被害者の父の方がインタビューに答えられている状況は実に立派だったと覚えています。ただ、報道する側はこの父親に対して一般の被害者と同様に突っ込んだ取材をしたのか、遠慮はなかったのか、ということを邪推してしまうのです。

 私は食品業界に勤めています。最近、「食の安全を揺るがす自体です」という論調でいろいろと厳しい報道がされました。もちろん、事件そのものを擁護するつもりはありませんし、外部の目が入ったおかげで内部的にもいろいろと改革が進みました。そういう意味での監査者としてのマスメディアの効果は認めます。そして、これらの報道を通して内部の教育に使っている考えは「過去の常識はあてにならない。今まで良かったから、は理由にならない。変わっていく常識に対して追従できないと生き残れない」というものです。

 上記メディア企業にお勤めの方のBlogでは「デスクに言われた」「上司の命令で」という言葉が現場の実情として書かれています。では、その言っている「デスク」や「上司」はどういう判断基準で命令を出されているのでしょうか。法律にのっとってでしょうかそれとも、社会常識をリードするものとしてでしょうか会社の営業方針に沿ってでしょうか。

 食品業界での事件で、もし担当者が「上司に言われたから」「会社の方針だったから」という発言をしたら、どういう対応がいろいろなマスメディアでされるか、ということが容易に想像できます(雪印の社長の「私は寝ていないんだ」発言がどんなふうにメディアに取り上げられたかは皆さんよくご記憶のことと思われます)。そして、事故発生時の「メディア対応技術」はすでに危機管理の一環として企業の活動に組み込むべきものとして捉えられているのです。

 メディア企業の各現場で担当者が誇りと高い意識を持って仕事をされていることは理解できます。ただ、ではその報道記事を選ぶ基準は何か。取材現場で守るべきものは何か。そして守らないものに対して告発して意識を高める努力が「システム」として行われているか。これらは、いろいろな企業の不祥事でマスメディアがその企業に対して突きつけていることです。以前に書いたことの繰り返しになりますが、これらのことをメディア企業は自分たち自身に対しても実効性のある形で行われているか、という事が「阪神大震災の時から変わっていない」とメディア企業が言われていることの理由だと思うのです。

(私が「メディア企業」という書き方をしていることを察してくだされば幸いです)。

2004 11 07 [報道] | 固定リンク

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» 災害時の対応についてマスコミへの注文 from Lab:dddo/実験室どどど
ヘリコプター、飛行機(、中継車?)。インタビュー。天気予報の台風情報と週間予報。...について 思った事をいくつか。 続きを読む

受信: Nov 7, 2004, 8:12:45 AM

» 声高に叫ぶのは from ガ島通信
今回の中越地震では、2ちゃんねるなどの掲示板やブログで「マスゴミ批判祭り」が繰り広げられました。何度も書いてきたように、マスコミの行動に反省が必要なことは言うま... 続きを読む

受信: Nov 7, 2004, 3:40:14 PM

コメント

被害地は地震による直接的なものだけでなく、へりコプターの騒音に苦しんでます。救援用の緊急ヘリなら我慢すべきもの、しかし、それにしても数が多すぎる、一分の間隔もなく飛来する、まさに騒音地獄、救援用以外のものも多数飛来してるとおもわれます、助けてください。

投稿者: 重村p (Nov 7, 2004, 10:03:30 AM)

ガ島です。TBありがとうございます。指示は法律ではなく、内部の規定であったり、「以前からそう」という雰囲気であったりします。まさにご指摘の通り、マスコミも日本の企業であり、その組織構造は同じ。バレなければ牛乳を詰め替えたり、賞味期限の日付を改ざんする企業と同じ問題点を抱えています。残念ながら、それが現状です。今私がブログを書き続けるのは、少しでも内部から変えたいという気持ちからですが、微力ですし、絶望と徒労感に襲われることもしばしばです。しかし、そんな内部事情は読者に対しては言い訳できません。難しいです…

投稿者: ガ島通信 (Nov 7, 2004, 3:46:02 PM)

ガ島通信様 コメントありがとうございます。偉そうな事を書きましたが、自分の所も日々葛藤にとらわれています。お互いに良くしていけるように努力していきましょう。

投稿者: skywolf (Nov 7, 2004, 10:30:15 PM)

TBありがとうございました。
皆さんからご指摘いただいた通り、「新聞」には変わらなければならない部分がたくさんあります。その課題は、報道面だけではなく、大衆とのリレーションシップ、流通の構造など、多くの面にあると思います。
今回、ブログ上を飛び交った皆さんからのご批判の声には、新聞を全否定するようなものもいくらかありました。「何とか次代の新聞を…」を考える矢先のことだったので、正直やるせない気持ちにもなりました。ブログ上にもいらっしゃるように、本当に正義感にあふれ記事を書いている人たちだっているんだ、組織が腐敗しているから、その中身もすべて腐敗しているんじゃない…ということがどうしても伝えたかったのです。
これからも色々なご意見をお聞かせください。

投稿者: say-go-69 (Nov 8, 2004, 1:12:26 PM)