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2005.02.21

スタジオジブリはルーカスフィルムになれるか

本来はディズニースタジオになれるか、と書くべきでしょうが、現代を考えれば近いのはこちらか、と。

スタジオジブリは、アニメーション製作スタジオとして、また日本の映画スタジオとしてもトップレベルの収益力を誇るようになりました。まあ、高品質ゆえに寡作、という面が強くありますけどね。最近は安心して見られる作品としてもブランド化しつつあるようです。

さて、私個人で見た場合、ジブリ(というか、宮崎監督)の作品は「ルパン三世」の頃から意識しており、ナウシカもラピュタも映画館で見ました。当時は高品質な変わったアニメ、という程度で興行的にも中々苦しかったように覚えています。ラピュタをテレビで流してトトロを新作として紹介した際に宮崎監督が「お金を払ってきてください」と発言したことが強烈に記憶に残っています。当時はそれくらいマイナーだったのですね。同時に、宮崎監督のプロ意識も強く感じたえがあります。興行成績については、山口氏のこちらのBlogでうまくまとめられていますのでご参照ください。

で、今回徳間書店から独立(もともと独立会社だったのですが徳間の都合で吸収された)ということになりました。これは、徳間書店のリストラの一環として、清算するための資金を得ることが目的であった、とのことです。今日の日経産業新聞によれば、徳間書店の1300億円にまで膨らんだ有利子負債について「千と千尋の神隠し」が大ヒットしたことである程度借金が返せるメドがつき、その後の映画のヒットでこれが600億円まで減少、今回のジブリの独立と営業権譲渡に伴う200億円の収入となり、400億円まで減った(900億円は返した)ところで、清算に関してまとまった、ということのようです。ここでジブリと出版部門を切り離すのは「もともと別なので出版部門の気が緩む」のを防ぐため、のようです。出版部門に関しても、昨年は「北斗の拳」をリバイバル発行し(集英社じゃなかったんですね)、10億円以上の営業黒字を出す見込みとなりました。これで出版部門も軌道にのりそうなメドが着いてきたこともジブリ独立の追い風となっています。

ということで、徳間書店に関しては恩を返した形になるジブリですが、これからは独立した企業としてどうするのか、が問題となります。宮崎後、についてはホープであった近藤喜文氏の急逝もあり、今のところまだ見えてきていません(猫の恩返しは興行的には成功ですが・・)

まあ、過去の映画スタジオを見ても、名物プロデューサーの引退後に、などはよくありコンテンツ産業が属人的になってしまうのは仕方が無いことでしょう。マンガにしてもドラマにしても、配給会社や出版社を見て読んだり観たりするわけではないですしね。となると、ジブリという「仕組み」が宮崎駿という作家個人の表現の場としてあっても良いのでは、とも思えます。そして、そこで鍛えられたスタッフや技術が他の作品についても技術支援や実務担当として業務を行う、ということもあるのではないでしょうか。ルーカスフィルムとILMの関係のように。

ILM(Industrial Light and Magic)は、ルーカスの映画の特撮部門として作られ、スターウォーズなどのルーカスの映画以外でも独立した特撮技術会社としてトップクラスとなっています。ジブリとジブリアニメーション、という形に別れることも、企業として存続し、技術レベルを維持していく(技術を持った人間をつなぎとめておく)ということはありなのかな、とも思います。ILM印は、現状映画でもある程度の映像の質が確保されているブランドとなっていますので、アニメーション(CGIを含む)の技術レベルに関してジブリが同様に成り立って行ける可能性もあるように思えます。

今年はスターウォーズ最後の年であり、ルーカス自身がメガホンを取ることは今後無いかもしれません。ただ、ILMはデニス・ミューレン引退後でも生き残っていける可能性を持っています。ジブリについても、同じようなことが起きていくのではないでしょうか。(イノセンス(押井 守監督)にジブリが入っているように)


2005 02 21 [アニメ・コミック] | 固定リンク

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コメント

私は氏は心身ともにアルムおんじに
なったのではないかと思っています。
いってみれば彼は作る薪や干し草やチーズや乳が
バカ売れしてしまったアルムおんじ
なのではないかと思います。

投稿者: bun (Feb 28, 2005, 7:04:29 PM)