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2005.07.18

電気が非力だなんて誰がいった?

石油を燃やすエンジンと電気モータを併用して走る乗用車の市販化で先鞭をつけたトヨタ、もう10年近い実績(とデータ)を持っておりいよいよフルラインアップを図ろうとしています。最初は環境、省エネを切り口としていましたが、モーターをブースター的に使うモードも入れてきました。最近発売になったハリアーハイブリッドは省燃費もそうですが、パワーに力点を入れています。これは2代目プリウスが出た時もそういう触れ込みでした。

ウィキペディアの解説はこちら

さて、最初にややまだるっこしい言い方をしたのは、ハイブリッドはプリウス以前にもトラックやバス用としていすゞが実用化していたりするからです。現在ヨーロッパでは燃焼効率が良い、ということでディーゼルの進化が進んでおり石原都知事が振り回す煤なんて出ないような高性能エンジンを積んだ乗用車が普通に走っています。BMWやダイムラー・クライスラーの高級車にも普通にディーゼルのラインアップがありますし。

で、ディーゼルの弱点は急加速に弱い点ですが、これを補うためのハイブリッドシステムが有効なのは誰でも思いつくこと、先に上げたいすゞのシステムしかり(新型はこちら)、乗用車用としても各社が開発を進めているようです

将来の本命として燃料電池車も開発が進められていますが、低温に弱いこと、充電が出来るわけではないということを考えると、回生ブレーキを有効に使うための充電式電池とのハイブリッドにはならざるを得ないでしょう。水素を使うだけなら、直接燃焼が出来るロータリーエンジンの方が早いかもしれませんし(RX-8ボディに積んで実走テスト中。ロータリーも低回転粋が弱いため、モーターアシストは有効かも)。

また、世界最速の自動車は慶応大学が開発した電気自動車のエリカですね。こちらは燃費云々よりも純粋に性能重視で開発されており、結果的にエネルギーコストが付いて着ている、という感じです。で、8輪車が格好良いの、これが。映画にそのまま出て来れそうなデザインとパワーを持っています。

まあ、制御技術を考えた場合、今のガソリンエンジン車ではタイヤの持つ性能を充分に発揮できないそうで。摩擦の変化にエンジン制御が追いつかないのですね。ただ、電気化した場合タイヤのパターンブロックの一つが動く間での間のモーター制御だって出来てしまうくらいの反応速度を既に持っているようです(電圧で言えば、1Aの範囲で千分の一の1mA単位で制御するなんて朝飯前)。エリカの高加速型の制御はまさにこれで、ホイールスピンを起こさないギリギリを狙ってパワーを掛けられるわけですね。これはエネルギーの有効利用にもつながり、結果的にハイパワーと高エネルギー効率が狙えるわけです。

更に言えば、この手の高出力モーターの制御を得意としているのが重電企業、すなわち日立だったり東芝だったりするわけで(簡易型電気4WDのユニットは日立製)、自動車企業との連合はこれから活発になるでしょう。ロボットも最初からモーター駆動ですので、ホンダやトヨタがロボットを研究しているのはあながち間違いではないわけですね。モーター制御技術の波及を考えれば。

というわけで、環境を切り口にハイブリッドを含めた電気駆動自動車の芽が伸びてきたわけですが、パワーとスピードでも既に電気駆動の方が上な訳です。これは列車と同じということで(インフラが大変でも鉄道に電車が多いのは楽できるからだけではなくパワーが出せるから、という面も大きいわけですな)。環境は単なるきっかけに過ぎないのかもしれません。

まあ、省エネルギーというのはコストダウンに繋がりますから分かりやすい切り口が出来た、ということだけかもしれませんけどね(私が勤めている会社でも環境ISO取得してからエネルギーコストが一気に下がりましたし)。


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