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2005.10.08
FMCがPHSの轍を踏まないために
最近のニュースで、携帯と固定の電話番号を一本化しよう、というのがありました。と同時に、FMC(Fixed Mobile Convergence:固定と携帯の融合)というビジネスも進みつつあります。ただ、これってかつて見た光景のようにも思えます。それは、PHSです。
PHSの本来のコンセプトは、「家庭用コードレス電話が外でも使える」でした。ですので、高速移動体(車や電車など)で使うことは想定していませんし、主に都市部を前提としていたため地方での繋がりにくさもやむを得ない、と思われていました。
ただ、ユーザーには携帯電話との違いが理解されなかったため、「繋がらないケータイ」とか、「安物」となってしまい、3社あったキャリアも1社を残すのみとなっています。この残った1社(ウィルコム、元DDIポケット)はPHSのメリットを前面に出すことで生き残りを果しました。
で、今回のFMCですが、有望視されているのは無線LANと携帯のデュアルバンドです。固定回線では無線LANなどの端末につなぎ安価もしくは構内用として無料、屋外では通常の電波で通信する、というものです。で、同じコンセプトでかつて「ドッチーモ」(PHSと携帯のデュアルバンド)がありました。企業用のソリューションとしてはそこそこ売れたようです。企業の内線電話としてPHSを導入し、そのまま外ではPHSまたは携帯という形ですね。ただ、やはり使い勝手が悪かったのか、大規模普及とは行きませんでした。
そして今回のFMCです。今回違うのは、固定電話のIP化が前提となっていることで、固定電話の方から移動体電話に歩み寄っていることが従来とは大きく違う点です。
かつて磐石の基盤と思われていた固定電話ですが、現在はIP電話に押されて通話のソリューションとしては「回線提供」のインフラとしての価値しかない、と言っても言い過ぎではないでしょう。局内装備としてのIP化は既に終わっているでしょうし、旧来の交換機に対する投資はNTTはしない、と言っていますから先細りは間違いありません。さらに、新しいサービスも出来ないことが問題でしょう。
FMCが進むことは、電話の主力が携帯に移ったことを明確に現しています。そして、いよいよ「個人に対する通信システム」として電話が変わったことも意味していると思います。ただ、こうなっていくと色々なサービスを提供するにあたっての端末接続に関しての標準化も必要になってくるかもしれません。現在の電話機はいちおうPlug and Play を実現しておりますし、FAXも同様です。もちろん、これは規格に沿っているからなのですが、IP化した後はもっとサービスの自由度が上がる為、機器が繋がるか、サービスが受けられるのか判断することがユーザーにとってより難しくなるでしょう。そう、なんでも繋がるのはPCくらいしかなく、ソフト設定という一般ユーザーには敷居が高い方法を取らざるを得なくなってしまうからです。PCは自由度が高い分、専用機のような「見れば判る」、「機能を隠す」デザインが出来ません。
最終ユーザが使うベース端末の設計(機能、デザイン、価格などすべて)がFMC導入や普及、ビジネスの成功の鍵を握っているようにも思えます。
2005 10 08 [経済・政治・国際] | 固定リンク
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