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2006.04.15
殿様商売からの脱却
映画館の数が増加しているそうです。もうすっかり定着したシネコンの影響が大きいですね。全席指定で時間を無駄なく使え、設備・音響共に良好となれば、映画そのものの魅力はあるわけですから観客増加にもつながっていくでしょう。加えて、昨今の映画が大作志向に流れている為(3時間超が普通にある)、大スクリーンや立体音響で無いと、という意識にもつながっていくと思います。
いわゆる「殿様商売」というのは、言ってみれば顧客の欲求の方が供給を上回る状態で成り立っているわけですね。
簡単に示せば
顧客の欲求>供給能力
という状況です。この式で、左辺はさらに色々な要素で成り立っていまして、たとえば
顧客の欲求=価格+ネタ供給能力+品質+納期
などと言えるでしょう。供給側としては、右辺を減らして飢餓状態に置くというのも良いのですがやりすぎると撤退になってしまいますし、右辺を下げること(納期の低下)ので、どちらかというと左辺を上げていくことが重要と考えられています。ポルシェなどは適正供給能力は注文数-1だそうですし。
供給側としては、殿様商売と取られないよう(顧客満足度を下げず)、かつ供給をコントロールするというのがマーケティングであり、ブランド力の維持と考えています。映画館で言えば、左辺の低下にあわせて右辺を減らすという縮小均衡になっていた近年の状況が、左辺を増やす事で右辺の増加を可能にしたといえるでしょう。ただ、これはどちらかというと「不満を減らした」という程度であり、まだ攻めには転じていないようです。しかし、デジタルシネマが増えてくればより機動的な上映も可能になるでしょうね。
これを考えると、カラオケボックスなどの業態が一番転換に向いているかもしれません。通信でソフトを供給する、というシステムで今のカラオケボックスは成り立っていますが、この流すソフトを「映画」にすればVODがすぐ出来るわけです。家庭では中々難しい大音響・大画面も既にある音響・映像システムである程度は対応できます。飲食対応も既存設備が使えますしね。
SD画質では中々「シアター」とは言えなかったでしょうが、HD画質のVODもサービスインに入ろうとしています。
家庭用ではコピー問題もあり権利者の許諾を得るのが難しい状況でしょうが、これが業者相手ならばどうか。きっちりとした契約でカウントしていくシステムが出来れば意外に早く進んでいくのかもしれません。
カラオケという能動的な遊びと、映画というどちらかというと受動的な遊びは一致しないのかもしれませんが、たとえば「冬のソナタ一気上映会」という形の主婦のイベントだってできるとなれば、日中の需要だって獲得できると思うのですよね。映像周りのデジタル革命も事業としては色々なアプローチがあると思います。
2006 04 15 [映画・テレビ] | 固定リンク
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