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2006.07.30
今週のニュース(7/23~7/29)
今週も気になったニュースを取り上げて行きます。
1.鹿島アントラーズ、介護予防事業も実施へ
サッカーJリーグの鹿島アントラーズが、介護予防としてストレッチなどの運動や食事の健康を指導する介護予防事業に参入するそうです。サッカーチームが介護予防というのは意外といえば意外ですが、地域を考えてみると結構これはいけそうです。地元の近くに住んでいると、やはり老齢人口が多いというのは事実です。アントラーズファンにも比較的高齢者はいますしね(試合を見に行った時、70近くと思われる女性がグラウンドコートを着てスタンドへ向かっているのを観ました)。
で、名の通ったプロスポーツチームがこの事業に参加する最大のメリットは、「年寄りくさくない」でしょう。だれでも自分が衰えたというのは認めたくないもので、いわゆるシニア向けサービスの難しさがここにあります。「老齢向け」と最初からストレートに来たサービスや商品はたとえ物がよくても避けられてしまいますしね。しかし、地元でプロスポーツチームの選手やコーチがやってくれるとなると、選手みたさだけでも通う可能性がアップする期待が持てるわけです。肝心のサッカーはどうする、というのはありますが、比較的地方に拠点を持つチームが多いJリーグの場合、事業拡大とファン増加のためにこういう事業に参加する例は増えるかもしれません(カープもやりそうだな・・)
2.ゆうばりファンタ、来年以降の開催未定。夕張市は開催せず
財政再建団体になった夕張市は、ゆうばり映画祭の来年からは中止する方針を固めました。冬の観光の目玉とは言え、6千万円ちかく市が補助と言う形で運営資金をだしていたのですが、財政債権団体になり独自事業ができなくなったことを受けての決定です。ただ、これはブランドとして定着していただけに惜しいところであります。スポンサーを募るかたちでできないか、経費を抑えられないか、ということですね。日産を再建する際にやはり存続を危ぶまれたマリノスに対し、ゴーン社長(現。当時はCOO)がシンボルとして必要と考えた例があります。企業と自治体を同列には扱えませんが、単なる縮小均衡ではなくメリハリをつけることが再建には必要ではないかと思うのです(この意味では、企業が傾いたときによく銀行から社長が来て、とありますがこれで復活した例はあまりないのですよね・・特にメーカーは。新しい攻めの部分を作る能力は銀行側には無いと言って良いでしょうから)。
自治体の事業に限らず、政府がやることでメリハリをつけるのは色々なしがらみがあって難しいでしょうけど、本当に事業として赤字を垂れ流しているものかどうか、黒字化できる要素は無いか、再建に当たっての見極めが必要だと思います。
3.雇用保険3事業見直しで事業主負担削減へ
厚生労働省は、雇用対策事業として行っている雇用安定、能力開発、雇用福祉の3事業を見直すことで、事業主が負担している保険料を賃金の0.05%減らすことが可能である試算を行いました。これらの3事業は行っている割に効果が疑われているものが多く、作っただけ、役所の雇用対策ではないかとも思われます。
これらの事業見直しを見て思うのは、政府による支援はなんのためか、ということですね。基本は「育てる」ことですので、逆に言えば期限付き、永久に面倒を見てもらえるものではない、という事が前提のはずです。ただ、現実には自立できず、それでもつぶせないという状況に陥ってしまうものが多い。これは役所の側もそうですが、受ける民間の側にも原因があると思わざるを得ません。育てる能力が無ければ育ててはいけないし、自立する気概が無ければ支援をうけてもいけない。最初は仕方が無いのならば、国が教育だけはする、という事になるのでしょう(で、常に効果検証はする、と)。
というわけで、夕張特集です。
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2006.07.24
デジタル時代の本物とは
昨日、千葉市美術館で展示されている「イギリスの美しい本」展を見てきました。これは、15世紀~現代まで、イギリスで出された美麗な装丁の本を展示したものです。装丁ゆえに、本の中身とされるテキストそのものはあまり重視されません。まあ、美術館ですしね。
さて、この展示会を見ていて、「本」ってなんだろう、という思いが強く浮かんできました。たとえば今皆さんがこうして読まれているこのBlog,内容の同一性が保障されているのはテキストデータのみであり、見え方は端末によってすべて変わってくるわけです。ただ、それでも「テキスト」を本質としてみればこれはこれでありでしょう。一般的な書籍も、図版が一切入っていない条件で考えれば著者が指定するのは段落程度であり、単行本と文庫、はたまた電子書籍ですべて見え方が違っても、同じものとして扱われます。
ただ、今回の展示を見ていて思ったのは、こうして出された本とPCのプリントアウトではやはり「違う」としか言えません。言ってみれば、映画とDVDの差ともいえるでしょう。装丁も含めて「体験」をさせるのが「作品」ともいえるからです。
そして、今後は「体験」という意味が今後の消費社会においても重要な位置づけを占めてくるように思えます。単に物というだけでは満足させることが出来ず、いかに良い「体験」をさせるかが消費への動機付けに繋がるからと思えるからです。
(この点は、WindowsXPの"XP"が"eXPerence"から取った、というのは卓見ですね)。
同時に、天皇陛下の言葉を残したといわれるメモも、ボイスレコーダならともかくたとえばこういうPC上のデータだとしたらあれほどの騒ぎを起こしえたかどうか。博物館に飾られるかどうかが重要とは言いませんが、ワープロを使って作る作家については記念館が出来たとしてもPCを展示して、というのはなんとなく雰囲気が違うように思えます。この意味では、既に「文豪」という言葉は死んでいるのでしょう。
このBlog自体もそうですが、誰でも自由に発信できるが故に書き物自体の価値は下がっていく。本物足りえることの条件は帰って厳しくなっているようです。
2006 07 24 [日記・コラム・つぶやき] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック
2006.07.23
今週のニュース(7/16~7/22)
今週も気になったニュースを取り上げて行きます。
1.経済産業省、流通取引の標準化システム策定を検討
経済産業省は、三越やイオンなどの大手流通業と共同で共通流通取引システムの開発に乗り出しました。現在紙が主流となっている取引を共通フォーマットで電子化することで業務の合理化を図ることが目的です。で、狙いはわかるのですが、現場にいますと各種イレギュラーをどうしていくのか、また逆にシステム化することでイレギュラーをなくしていけるのか。人がやること、特に商売に絡むことゆえに実際に落としていく段階になると紆余曲折が予想されます(特に、「融通を利かせる」ことが実力であると思っている人が多いとね)。
2.05年度、公的年金の運用益過去最高へ
年金資金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人は、05年度の運用結果を発表し過去最高の運用益と2兆円弱が国の年金会計に繰り入れられることになりました。05年の大幅な株価上昇が寄与したものです。で、06年度を考えると横ばいからややマイナス傾向に株価があることを考えると、また厳しくなってくるでしょう。逆に言えば、この「年金ファンド」が経営に口を出してくる可能性すら出てきます。
まあ、政府のあり方からすればむしろ逆になってしまう可能性すらあるのですが、経済の好調が七難隠す好例と言えるでしょう。ここで得られたマージンを使ってどうしようもなくなる前に何とかシステムを見直して欲しいものです。
3.天皇陛下の発言メモに、小泉首相は自身について影響なし
靖国神社参拝に関する昭和天皇の意見とされるメモが出てきました。これについて小泉首相は心の問題であり自身の参拝には影響しない、という考えを示しています。私は、この考えはこれはこれであっているように思えます。まず、そのメモ自体が天皇陛下のお言葉であるかどうかは不明確なこと、また、逆に言えば天皇陛下のお言葉だからといってそれが社会に対して影響を与えるべきものかどうか、ということもあるからです(私は参拝はしませんけどね。他人がするのは止めませんけど)。歴史研究の一つとしては興味ありますし、昭和天皇がそう考えられていたのであればそれはそれで尊重はしますが、それ以上ではないということで。今の人間がこれによって左右されるのは少し違和感を持っています。
2006 07 23 [ニュース] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック
2006.07.21
野球選手に肉体の進化を見る
今、今年のプロ野球オールスターを見ながら書いています。で、毎年この時期には功労者表彰としての野球殿堂入りの紹介があり、かつての名選手の往年の姿が紹介されるわけですが、今改めてみると、当時の選手たちはかなりスリムであることに気が付きます。たとえば、今年野球殿堂入りした山田久司投手。まあ、もともとゴツイというわけではありませんが、今の選手を見た後に当時の映像を見るとやせっぽちにすら見えてしまいます。
新庄を見ても、細いのですが筋肉はきっちりついていてパワーがある、ということを感じさせます。これらは、ウェイトトレーニング、スポーツ栄養学などの進化を如実に表しているといってよいでしょう。そして、これらの体格の変化も日本人もメジャーリーグで特段引けを取らなくなった証拠かもしれません。
かつては、いわゆる「ガイジン助っ人」はパワーが売り物でした。もちろん、今でもカブレラあたりのパワーに匹敵する日本人はそうはいないでしょう。ただ、だからといって日本人選手がまるで非力か、と言われるとずいぶん広くなった各球場でもホームランがそれなりに出ていることなどからも決してそうはいえないことをあらわしていると思います。
まあ、逆の意味では、今のプロ野球選手にはかつての門田や香川、江夏といった腹を突き出しつつやるようなプレイヤーはいなくなりましたけどね。身体制御が進んだ証拠がここにもあります。
で、一般を省みるとメタボリックシンドロームといわれ、お腹周りが気になる人も増えているようです。メタボリックシンドロームそのものについては色々と疑義もあるでしょうが、太りすぎ、運動不足が体に良くないのは事実。私も昨年待つごろから中年太りが気になってきており、ピラティスを本を買い込んですこしずつ行っております。こういった方法に関しても以前よりは情報が入りやすく、またわかりやすい時代になっているのが現代でしょう。20年前には今から見るとかなりいい加減な情報しかありませんでしたからね。
健康で長生きの基礎を作るトレーニング方法も、少しずつ進化しており、プロ選手しかり、一般にもその恩恵がでてきているのかな、と思っております。
2006 07 21 [スポーツ] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック
2006.07.16
今週のニュース(7/9~7/15)
今週も気になったニュースを取り上げて行きます。
1.高速道路工事落札率、民営化後80%台に低下
高速道路会社各社が発注する工事の落札率がかつては90%台だったのが80%台に低下したことがわかりました。民営化による競争原理が働きつつあることかと思われます。ただ、現状では分割された会社は道路は作りませんから、一概に各社が競争させているというわけではないでしょう。それでも、「工事を作ることが目的」という状況はもう作れないということかもしれません。
こう考えていくと、インフラ型企業は存続基盤をどこに持っていくか難しい時期に来ていると思われます。道路工事で言えば、ランニングの修理需要はなくならないにしろ、新規敷設というのはどう考えてもある時期から急速に減少します。社会の状況と自身の事業寿命をどうみるか。経営はここまで考えて行わなければならないという意味かもしれません(そういう意味では、高速道路の上下分離は運営に徹するという点で永続性を持たせて無理に作るという部門を生かしておく必要がないという点では良いのかも)。
2.カブドットコム証券、夜間の私設取引所設置へ
カブドットコム証券は、金融庁から私設取引所(PTS)の設置許可を得たことを発表しました。当面は300銘柄からですが、今後は銘柄の拡大、信用取引も将来的に導入する見込みです。
で、現在取引をするユーザーにとっては窓口である証券会社は意識することがあっても、取引所自体はある意味同でも良いといえるでしょう。特にネット取引になってからはなおさらですね。上場する会社にとっては「どこに上場」ということは意味を持ちますが。
で、これは東証の上場にとってもある意味重大な意味を持つでしょう。今まではある意味権威で持っていた、また企業ユーザーの大規模取引の場であった東証が、民間企業ととして競争にさらされるということになりますから。まだPTSは上場先として選ばれることはないでしょうが、各証券会社連合が大規模PTSを作ったらどうなるか。極論すれば、ヤフーオークションで株が扱えるようになったらどうする、という事でもあります。イートレード、楽天、SBI証券も同様の動きをしていますし。
プロ向け(M&Aなど)に関することは東証のようなシステムが必要でしょうが、個人投資家にとってはどうでも良い。ITによる従来秩序の破壊がここにも現れているのかもしれません。
3.Windows98/Meサポート終了へ
マイクロソフトは自社のOSについて旧版である98、98SE、Meについてアップデートを提供しないと以前から発表しており、この7月で最後となりました。販売終了から5年以上サポートをしていたことになります。問題としているのは教育現場が多いようですが、更新のコストはかけられないようです。
ただ、これって今はじめて発表されたわけではなく、随分まえから問題になっており延長に告ぐ延長でここまで伸びたのが実情です。個人的には、販売終了から5年超というのは十分ではないか、とも思えます。現場で新しいのが買えない、というのは理解できますが5年前からすると随分導入コストも下がっているんですよね・・1台6万円のPCが当たり前のように売られていますから。
ただ、マイクロソフトのサポートポリシーで問題なのは「販売終了から2年で終了」ということでしょう。現状のXPは次期OSの発売が延期が続いた為たまたま5年という長きにわたりましたが、本当はとっくに入れ替わっていたはずです。今回のサポート終了にはXPもオリジナルXP,XP-SP1も入っていますが、これらは無償でSP2にアップグレードできる為そうは問題になりません。今売られているXP-SP2が来年の販売終了から2年で終わり、となると買い控えも起きかねないし、ネット全体に与える影響も大きいでしょう。Vista発売時点で安価なアップグレードパスの導入を期待したいです(Me→XPもありました)。
ところで、引用したニュース記事では自動車メーカーなどの補修部品を例に出していますが、今回のサポート終了とは実は意味合いが違います。単純な修理でしたら(同じものに入れ替える)ならば、各PCメーカーもまだ対応できるでしょう(PCに最初からインストールしているOSのサポートはPOメーカーの義務と契約上なっています)。今回の終了は「アップデートの供給」ですので、自動車で言えば、リコールサポートともいえます。どうもこの辺の理解が世間的に不足しているようですね。
2006 07 16 [ニュース] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック
2006.07.13
【書評】「人間という生き物」
私の大学時代の専攻は分子生物学でした。当時はバイオの走りで、生物に対してやっと化学的なアプローチが取れるようになった時代で、生物は分子機械である、という認識が定着しつつある時代でした。ただ、当時も今も生物については自分たちが生き物であるが故に、なかなか客観視は出来ていません。さらには、入門書といっても難しすぎたり逆におもねりすぎて似非化学の寸前になってしまうような状況がありました。で、今回取り上げる「人間という生き物」という本ですが、比較的なじみやすく、かつちゃんとした教科書の副読本として使えるもの、という意図で書かれています。そして、この意図はある程度成功していると言ってよいでしょう。
さて、ここで少しお詫びを。この本の著者は私の恩師にあたり、先日大学を退職されました(今は国立大学も独立行政法人になりましたので退官とは言いません)。そのパーティの折、本を書かれているといわれてその内容についてもある程度聞かされています。その上で読むというやや反則をしていますが、確かに読んでいると著者の人柄を思い起こさせる内容が多くあります。で、客観的に見て上記で「ある程度成功」とあるのは、後半になると素人さんにはちとつらいかな、という内容に及んでいるからです。内容はもちろん正確ですよ。ただ、制限酵素や進化距離の話はどうしてもなじまないと難しいところがあってとっつきにくいかな、という印象を受けています。でも、これをやらないと話が繋がらないのは事実でして、なかなか難しいところです。
全体としては進化、分類、性といった生物の基本的なことを網羅してかつ比較的読みやすいという良書になっていると思います。これって、ビジネス本としても売れたら世の中もっと誤解が減ってよくなるような気もするのですけどね。
で、先のパーティで聞かされた話。本当はこの本にはもっと中身があったのだが、編集者に削られた、というのです。章の間にコラムとして教授と生徒の間で買わされる会話形式のより砕けた話があったのですが・・
もっと売れたら完全版がでるかも、と期待しつつ本稿は終了します。
2006 07 13 [科学、学問] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック
2006.07.02
今週のニュース(06/24~07/01)
今週も気になったニュースを取り上げて行きます。
1.ルノー、GMへ資本参加か
低迷が続いている世界最大の自動車メーカーであるGMに、ルノー(含む日産)が出資を検討している事が分かりました。現在ルノーと日産の双方の社長をカルロス・ゴーン氏が行っているわけですが、GMに出資をした場合アメリカ、アジア、ヨーロッパすべてに対して強い影響力を持つ企業が出来るわけです。ただ、これはダイムラーがクライスラーと三菱自動車に対して行った事と似ているわけですよね。あくまでも「メーカー」ですので、単純に大きくなれば良いというわけではなく、しかも一般消費者相手の製品ですから作る製品の魅力が問題になってきます。ここに負け組同士の連合が意味を成さない技術競争の厳しさがあります。GMも規模はありますが単独の車種での魅力がどうか、というと今はインセンティブ頼みの販売に頼っていますし、ルノーもメガーヌくらいしか目だった車種はありません。日産も大型車にシフトしてしまった結果、原油高のあおりが出て不振、しかもエコカーについては遅れ気味です(ハイブリッドにしろ、ディーゼルにしろ日産は目立ったものは無い)。
規模のメリットを出せるのか、大きすぎてコントロールを失ってしまうのか。GMはコラボレーションが苦手、という文化もあるため(サーブ、富士重、スズキを有効に使えなかった)、今後かなり厳しい状況は続くものと思われます。
2.ドライブレコーダー導入タクシー、事故半減
飛行機には飛行状況を記録するフライトレコーダーの設置が義務付けられており、事故時の原因究明に役立てられています。同様に、自動車に取り付けて映像を記録していく「ドライブレコーダー」も既に存在しており、タクシー等に取り付けられるケースが増えています。自動車事故の場合、目撃者が不在だと責任の所在が不明になったり、双方の証言が食い違うなどの問題が起きやすいのが現実です。しかし、このドライブレコーダがあれば事故時の責任がハッキリする、運転手に対して言い逃れを許さないなど管理、安全双方に役立つ事が期待できます。そして、導入したタクシー会社では、事故が半減したという効果がありました。
全車に義務付けるかどうかは色々と問題があるでしょうが、業務用車については普及が進むと色々と面白いことがあるかもしれません。