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2006.07.13

【書評】「人間という生き物」

私の大学時代の専攻は分子生物学でした。当時はバイオの走りで、生物に対してやっと化学的なアプローチが取れるようになった時代で、生物は分子機械である、という認識が定着しつつある時代でした。ただ、当時も今も生物については自分たちが生き物であるが故に、なかなか客観視は出来ていません。さらには、入門書といっても難しすぎたり逆におもねりすぎて似非化学の寸前になってしまうような状況がありました。で、今回取り上げる「人間という生き物」という本ですが、比較的なじみやすく、かつちゃんとした教科書の副読本として使えるもの、という意図で書かれています。そして、この意図はある程度成功していると言ってよいでしょう。

さて、ここで少しお詫びを。この本の著者は私の恩師にあたり、先日大学を退職されました(今は国立大学も独立行政法人になりましたので退官とは言いません)。そのパーティの折、本を書かれているといわれてその内容についてもある程度聞かされています。その上で読むというやや反則をしていますが、確かに読んでいると著者の人柄を思い起こさせる内容が多くあります。で、客観的に見て上記で「ある程度成功」とあるのは、後半になると素人さんにはちとつらいかな、という内容に及んでいるからです。内容はもちろん正確ですよ。ただ、制限酵素や進化距離の話はどうしてもなじまないと難しいところがあってとっつきにくいかな、という印象を受けています。でも、これをやらないと話が繋がらないのは事実でして、なかなか難しいところです。

全体としては進化、分類、性といった生物の基本的なことを網羅してかつ比較的読みやすいという良書になっていると思います。これって、ビジネス本としても売れたら世の中もっと誤解が減ってよくなるような気もするのですけどね。

で、先のパーティで聞かされた話。本当はこの本にはもっと中身があったのだが、編集者に削られた、というのです。章の間にコラムとして教授と生徒の間で買わされる会話形式のより砕けた話があったのですが・・

もっと売れたら完全版がでるかも、と期待しつつ本稿は終了します。


2006 07 13 [科学、学問] | 固定リンク

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