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2006.09.16

お金持ちとお金稼ぎとの違い

日本の個人金融資産は1400兆円と言われ、金融危機といわれてもこれがあれば大丈夫、なんて声がありました。ただ、これらを持っている人たちを考えるに、自分達の安心料としての「ストック」であって、フローとしては小さいというのが実情かと思われます。これから団塊の世代が大量退職して小金持ちが増えることを当てにしている業界もあるようですが、このストックとして持たないと安心できないような日本社会を考えると先行きを間違えてしまうように思えます。


例えば、1億の純金融資産を持っていると富裕層、と言われます。ただ、これがもし特別稼げるような職業にいないと、銀行金利などでは良くて100万程度の利子収入しかありません。1億を崩していけばよいのでは、ともいえますが、60歳で1億持っていても崩していけば500万で20年にしかならず、とても老後が安心とはいえないのです。このように、ストックだけあってフローがないと「お金持ち」ではあっても、「お金使い」にはなりえません。極端な話、70過ぎて1億あったらそろそろ使おうかな、という気にはなるでしょうがそれでも高齢化とともに医療費リスクが増してくるため(何かあったらすぐに1000万単位で金が飛ぶ)、やはり安心してお金を使う心理にはならないでしょう。こうして「死蔵」される資産が増えていくわけです。

企業の活動であれば、これらは「資産」ならぬ「死産」と言われ、活用を言われるわけですが個人としてはそうそうリスクは取れません。まさに虎の子であるが故にリスクマネーに投資して、とは行かないわけです。ある意味、これが日本の「富裕層」の実態であるのかもしれません。

人生設計にも経営と同様ストックとフローを考えておくとリスクマネーにも対処できるのかもしれませんが、今のいわゆる高齢者にこのような教育はほとんどされていません。彼らのストックが放出される時に初めて日本でもリスクマネーが市場に動き始めるのかもしれませんが、それまでは間接金融としての運用が重要というのは変わらないのでしょう。

また、これらの「死産」を使わせるためにはバックアップをきっちりとっておくことが重要なのですが、日本の国家システムがどうも個人からいかに吸い上げるか、ということを重視しているようにしか見えないため、この不信感が溜め込みにつながっているということもこれからの政府には理解して欲しいと思います(失敗するのは自由だが、成功したら税金で取り上げる、ではねぇ・・)。

政府部門があくまでも個人の生活を支えるものである、ということを前提にして、無駄を省き仕事は民間にできるだけやらせる、ということが金回りを良くすることにもつながっていくように思えます。

(貯めるだけ貯めて、使えない人生はつまんないしね)



2006 09 16 [経済・政治・国際] | 固定リンク

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