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2008.07.21

ひまわり後継の危機。静止軌道利権を放棄する気か

日本の気象衛星として親しまれている「ひまわり」(ウィキペディアの解説はこちら)。打ち上げの失敗などで一時アメリカの衛星を借りたこともありますが、太平洋地域の観測衛星としてすでに30年が経過しています。ただ、現在その後継機について予算がつかず存続が危ぶまれています。その金額、1基400億円とか。


さて、気象衛星についてその有用性を否定する人はいないでしょう。台風の進路予想から始まり、大雨、日照など気象予測に必要なデータ収集に重要な役割を担っています。ただ、現在の気象庁で自前で衛星を打ち上げ、運用、管理する予算が無いというのは今回の騒ぎではじめて知りました。今までは実験だから旧文部省、今のは航空管制をするからということで国土交通省航空局から、とよそから無理やり引っ張ってきていたというのがお寒い実情です。なにか、こういうのを聞いていると外車に乗っているのに給食費を払わないという家計運用の重要度が判断できない(しない?)というような印象を持ってしまいます。

先にもあげましたが、400億円で台風被害や豪雨被害が避けられるとすれば、安全保障上はきわめて安上がりといえるでしょう。もし何も知らないで激甚災害など起こした日には、1000億円程度は軽く飛んでしまいます。

(少々古いですが、平成17年の台風14号による被害額は3800億円とか)

これは進路がわかっていて準備していての金額ですから、衛星なしではもっと増えたと思われるわけです。

さらに、静止軌道という限られた資源の権利を放棄してよいのか、という問題があります。

気象衛星ならばどうせ今も国際協力でやっているし、中国が打ち上げるからデータをもらえばよい、などという発想がありますが、これだと30年維持してきた静止軌道の権利を放棄することにもつながります。静止軌道というのは、周回時間が地球の自転と一致するごく狭い範囲でしかないため、以前から取り合いになっています。既得権として宇宙先進国(アメリカ、旧ソ連、ESA、そして日本)がそれなりに持っていますがこれを他国に譲るというのは安全保障上からも経済的にも損だと思います。

2008 07 21 [経済・政治・国際] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック