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2009.10.21

拒否権と市場維持

花王が発売していた食用油「エコナ」、脂肪がつきにくいということでトクホを取得し、健康イメージで売っていました。これが、発がん性を疑われる物質に変わるかもしれない油を含んでいる、ということでイメージが傷つき、また消費者庁での論議の状況を受けてトクホの自主的取り下げということが起きました。

さて、食品に関しては、はっきり言えば絶対無欠の安全性をもつものは存在しないといってよいでしょう。極論ですが、どんなものでも食べすぎればそれだけで健康に対して悪影響を及ぼします。狂牛病のリスクよりも餅による死者の方がずっと多いのも事実でしょう。なのに、消費者の反応はこういった「調べればわかるリスク」に比して動きません。これはなぜか。

消費者の無知に原因がある、と言えばその通りなのですが、それだけではないでしょう。単純な感情論?それも違うと思います。これは「拒否権を行使できるか」ということで行動が違ってくるのではないでしょうか。

リスクがあっても、それに対してすぐに認識があり、拒否できる方法が担保されているようなものに関してはリスクは許容されるように思えます。発がん性といってでは酒・たばこがなぜ騒がれないのか。これは分かっていて使う、という要素が大きいからでしょう。また、見ればすぐわかるのでいつでも逃避できるからということもあるようです。

しかるに、入っていない(と思っている)ものに対して、また見分けがつかないものに対しては拒否反応が強いように思えます。これが「安心」を否定されると感じて拒否反応につながるのではないでしょうか。

常識というあいまいなもので判断されては困りますし、なにより科学的ではありません。ただ、既知であり分別が簡単なリスクと、健康被害が発生するリスクは同程度でも分かりにくく拒否しにくいリスクとでは、反応が違ってくると思うのです。

となると、リスクコミュニケーションとしては単純にリスク比較をするだけでなく、その対象の拒否しやすさ(判別の容易さや混入度合い)などを勘案しないと「安心」ということにつながらないことになり、すれ違いを起こしてしまう要因となると思えます。

食糧を確保する面からいえば、ある程度のリスクは社会的に許容されなければならないのですが、この事を維持していくためには、単にリスクの大きさを評価して同等だから同じ扱いで良い、ということにはならないということを認識して判断をしていく必要があると思います。

2009 10 21 [科学、学問] | 固定リンク

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